Takeshi Murooka

現在のお仕事をお聞かせください。

 ミュンヘン大学経済学部のAssistant Professorとして、市場における企業の行動(価格付け戦略など)を分析する「産業組織論」と、経済学に心理学的な要素を組み入れた「行動経済学」の研究をしています。現代社会で取引される商品、特に金融商品の中には、契約内容が複雑すぎて、消費者が商品の特性を完全には理解できていないケースが存在します。アメリカで起きたサブプライムローン問題に代表されるように、そうした複雑な商取引において企業が正確な情報を提供せず、結果として消費者が不利益を被ることが社会的に大きな問題となっています。一方、企業には消費者に有益な情報を提供し、より多くの顧客を集める誘因もあります。私が行っている一連の研究では、いかなる状況で企業は消費者に正しい情報を提供するのか、また正しい情報が提供されない場合はどのように経済的損失が生じ、どのような政策が必要になるのか、を理論的に分析しました。執筆した論文が消費者保護政策に直接繋がっていることもあり、やりがいを感じています。


改めて、筑波大学で良かったと思うことを聞かせてください。

 筑波大学の良さとして、一番に思い浮かぶのは人間同士の距離の近さです。宿舎生活や授業を通して学生同士の仲を深められたのはもちろん、先生方との距離も非常に近く、親身になった指導をしていただきました。例えば、ゼミを先生と自分の1対1で受講させていただいたこともありましたし、経済学検定の大学対抗戦に出場するためにサークルを立ち上げた際には、非公認サークルであるにも関わらず顧問となって勉強会を開いてくださった先生もいらっしゃいました。また、他学類の授業をフレキシブルに受けられたことも良かった点の一つです。経済学の中でも数理モデルを用いた理論分野への興味が強まっていた時に、所属していた社会学類の授業以外にも、情報学類や社会工学類、生物資源学類など他学類の数学系の授業を受けられたことは大変ありがたかったです。


本学と本学の学生に対してメッセージをお願いします。

 学生の皆さんにはぜひ在学中に、長い時間をかけて物事に取り組んでほしいと思います。体系立てて読書に取り組んだり、海外を放浪したりといった経験は、時間が取れる学生時代しかできないことだと思います。素晴らしいカリキュラムを提供してくれた筑波大学には本当に感謝しています。今後は卒業生とのネットワーク作りにより力を入れて欲しいですね。機会があれば後輩学生たちの力になりたいと思っている卒業生はたくさんいるはずです。もちろん私もその一人ですので、海外で経済学を学ぶ・研究することに興味がある学生の皆さんは、いつでもご連絡ください。